「会計業務のDX化」について

投稿者: Aegies 投稿日:

経営を合理化する上で避けて通れない、「会計業務のDX化」。クラウドソフトの導入やペーパーレス化などを実現したいと考えつつも、どこから手を付けて良いかわからず悩んでいる経営者も少なくないでしょう。そこで今回お話を伺ったのは、税理士法人マスエージェントの田口さん。業種を問わず、数多くのスタートアップ企業・中小企業をサポートし、会計のDX化を成功させた実績の持ち主です。会計業務を安くDX化する上で知っておくべきことや、ツール選定のコツなどについて解説いただきました。

クラウド会計ソフト、領収書スキャンソフトなどで会計業務を合理化

――田口様はこれまで幅広い業種・規模の企業を対象として、税理士としてサポートを行われてきました。経営者の方々は、会計業務に対してどのような悩みを抱えていることが多いのでしょうか。

田口敦氏(以下田口):会計業務は会社にとってお金を生まない仕事です。そのため経営者は、なるべくお金と時間をかけずに済ませたいと考えています。ところが、紙の書類を用いた従来の会計業務では、非常に手間がかかる上にミスも生じやすい。たとえば、領収書や請求書を管理するのはかなり手間がかかる作業ですし、これらの書類を見ながら会計ソフトにデータを手入力すると、ミスが発生しやすくなってしまいます。

 ところが、私たちが主に担当しているスタートアップ企業や中小企業の多くには、会計業務のDX化についてはノウハウや知識がありません。「ペーパーレス化やクラウドソフトの導入などに興味はあるが、どうすればいいのかわからない」とお困りの経営者は多いですね。

――会計業務をDX化することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

田口:たとえば、紙の領収書や請求書を扱う手間を省くため、スキャンしてデータ化するという手段があります。私たちの場合は『STREAMED』というサービスを使っています。これは、領収書・レシート・通帳などをスキャンするだけで自動的に仕訳データ化してくれる優れもの。マスエージェント大阪支社ではスキャン専門のスタッフもおり、お客様から送られた領収書・請求書を素早くデータ化するサービスを行っています。1年分の資料をまとめて処理する場合でも、試算表をスピーディに作成できるようになりました。

 クラウド会計ソフトも、DX化には必須です。パソコンにインストールする従来の会計ソフトでは、会計情報を手入力する手間がかかり、ミスも起こりやすくなります。一方、当社も導入している『マネーフォワード』などのクラウド会計ソフトでは、ネットバンキングの口座情報やクレジットカードの情報とシームレスに連携でき、自動的に収支を入力してくれます。省力化と精度の向上を同時に実現できるわけです。

専門知識のない中小・零細企業でも、会計業務のDX化は絶対にできる

――会計業務をDX化するにあたって、最初に実施すべきことは何でしょうか。

田口:基本的な回答になりますが、まずは実際にクラウド会計ソフトを導入し、使ってみるしかないと思います。ただし、ソフトを導入するにあたっては、慎重に選定する必要があるでしょう。信頼できる税理士事務所や、すでにDX化している企業経営者に相談するのもお勧めです。もちろん、我々マスエージェントにご相談いただければ、これまでの豊富な経験を活かし、ゼロから会計業務のDX化を支援いたします。

――貴社では、クライアント企業の会計業務DX化をどのように支援しているのですか?

田口:当社は2006年頃から会計業務の合理化に取り組んでいましたが、2016年頃からクラウド会計をはじめとする本格的なDX化を推進し始めました。2018年にはお客様とのコミュニケーションを効率化するため『チャットワーク』を導入。2020年にはGoogleサービスも取り入れています。

 私たちは、DX化に意欲のない経営者に対して、無理にDX化を勧めることはありません。ただし、「会計業務をDX化したい」とご相談いただいたお客様には、全力で導入・運用をサポートしますし、まず確実にDX化は成功します。もちろん、はじめのうちはソフトの操作や新しい業務フローに慣れるため少し時間がかかりますが、1年も経てばマスターできます。「DX化のおかげで会計業務の時間が激減し、ストレスも減った」と皆さんおっしゃいますね。

会計ツールを選ぶポイントは、会社の理念とサポート体制

――「会計業務のDX化をなるべく安く実現したい」という経営者に向けて、アドバイスをいただけますか。

田口:価格の安いクラウド会計ソフトなどを使えば、一時的にコストは抑えられるかもしれません。しかし、ソフトが操作しにくいと結局手間がかかりますし、ベンダーのサポートが不十分だとトラブルが起きたときに困ります。

 やはりDXに強い、信頼できる税理士に相談するのがいちばん確実だと思います。たとえば私たちが社内で使用している領収書・請求書スキャンシステム『STREAMED』は会計業務効率化に抜群の効果がありますが、料金は決して安くありません。しかし、私たちがコストを負担することで、お客様には安価にご利用いただくことができています。そのように税理士をうまく使うことが、安くDX化するコツといえるかもしれません。

――会計業務をDX化するツールを選ぶ上で、重視すべきポイントを教えてください。

田口:使いやすさや価格など、重要なポイントはいくつかありますが、私が最も重視しているのはツール開発会社の文化です。私たちは現在『マネーフォワード』と『STREAMED』を会計業務DX化のメインツールとして活用していますが、導入前に私はどちらの会社も訪問し、社長に会ってお話を伺いました。企業トップがサービスに対してどのような理念を持っているのか、本当に安心して使えるサービスなのかを知りたかったからです。

 新しいツールに未完成な部分があるのは当然で、重要なのはこれからどうやってより良くしていくかです。我々ユーザーの声を聞き取って開発してくれるのか、困ったとき相談に乗ってくれるスタッフがいるのか。私はそういうことを社長に尋ね、「この会社のツールなら長く使い続けられる」と確信した上でツールを導入しました。自社でツールを導入する際には、可能なら開発会社の社員と直接話してみるのが良いでしょう。それが無理なら、サポート体制が充実している会社を選ぶことをお勧めします。

――最後に、会計業務の合理化に興味を持つ経営者の方に向けて、メッセージをお願いします。

田口:一般的なITリテラシーさえあれば、会計業務のDX化は必ずできます。まずは一歩目を踏み出してください。できれば税理士や経営者仲間など、DX化の知識がある相談相手を見つけるのが良いと思います。

 それから、DXとは少し離れますが、会計・税務の知識を高めることも会計業務の合理化に役立ちます。税理士に依頼している作業が実は自社で簡単にできるケースや、会計ソフトの使い方次第で作業が楽になるケースが実は少なくないのです。そうした会計リテラシーを高めるための勉強会も、マスエージェント大阪支社では年間30回程度実施しています。もしご興味があれば、参加してみてください。

*プロフィール

税理士法人マスエージェント 大阪支社 代表 田口敦

2005年、マスエージェントに入社。2008年より現職。大阪支社の運営と同時に、税理士として顧客の経営サポートを行う。中小・スタートアップ企業に対するDX支援の実績多数。企業経営者に寄り添う適切な会計業務を行っており、「税務調査が少ない」と顧客からの評価が高い。大阪支社独自の勉強会「マスゼミ」を通じ、お客様への情報発信活動も積極的に展開している。

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